水族館と水晶加工所

 さて期待の水族館である。入口では二人の若いお姉さんが今日最初の客を満面の笑顔で迎えてくれる。入り口付近で水槽のメンテナンスをしている人が、どうもこの水族館の主であるようだ。しかし、水族館の中に入って、全体を見渡してがっくり来た。ここは、熱帯魚の水族館なのである。ウミガメを除いては、皆、熱帯魚屋で普通に見るお魚たちだ。日本なら普通の熱帯魚店程度のこの水族館でお金を取ったりはできないだろうが、韓国では珍しいのだろうか。映画、「シュリ」を見る限り、熱帯魚趣味はかなり一般化しているのかと思っていたので、予想していなかったのだ。せっかくお金も払ったので、今どれくらい熱帯魚を覚えているかメモしていくことにした。
 入口にはチョウザメ、ミロソマ、クロナマズ、ガー、ゼブラキャット、ティラピア、グラスキャット、イグアナ、アーリー、そしてレッドテールキャットの水槽で左右に分かれている。まず入って右には、なぜか原産地がアマゾンとなっているグリーンアロワナ、メティニス、クラウンローチ、シルバーシャーク、しっかりと目だれしたシルバーアロワナ、シャベル、グラミー、ブラックゴースト、アーリー、ナイフフィッシュ、そして一番奥にウミガメと金魚(金魚は餌なのだろうが、同じ水槽にいるということは淡水?)。入って左側には、ピラニアナッテリー、レッドテールブラックシャーク、スマトラ、アーリーアルビノ、エンゼル、ミシシッピーアカミミガメ、ネオンテトラ、ナイフフィッシュ、アストロ、アフリカンシクリッドが数種、私が分かるものだけでこれくらい。あと、私が名前こそ覚えていないのが10種類くらいいるが、アクアリストとしても特に興味を持つほどのこともないきわめてオーソドックスな熱帯魚たちである。ついでに不満を述べれば、魚の大きさの割に水槽は小さいし、貧弱なライトニングやほとんどない水草と味気ないレイアウトは致命的、プレコやコリドラスがいないのもちょっと不満...。どうせ淡水魚水族館なら朝鮮半島の魚のコーナーを作るべきであろう。それならアクアリストもちょっとは興味を示す。ということで、あまりここにいるのも時間の無駄なので、さっさと外に出る。
 出て正面の階段を下りていくと、右は画廊?、左はアメシスト加工直売所である。一応宝石店のような内装である。ちょっと入ってみると、たくさんの店員が次々と日本語で話しかけてくる。うっとうしいので、ぐるりと回って出た。ちょっと愛想なかったかも知れないが、後から日本の金持ちおばちゃんが、たくさん来る予定なので我慢してね...。
 もう十時になるので、国際フェリーターミナルに向かうことにする。南浦洞(釜山ロイヤルホテル)方向には、エスカレーターがあるようだが、中央洞の最短距離の階段を下る。そろそろこの階段は登ってくる人が多くなり、その声を聞く限り東洋人は日本人、他には西洋人もいる。朝、観光地を動くのは、外国人が多いようだ。数年前、朝一番で清水寺の音羽の滝前にいると、最初に来たのはほとんど韓国人だったことを思い出した。

   2002' 8/29