釜山タワー
午前9時前に竜頭山(ヨンドゥサン)公園に到着。ここは、山頂部が広い公園になっていて、鐘閣や李舜臣将軍の立像が入り口付近にあり、他にも2つほどのモニュメントがある。李舜臣とは、日本でいう文禄・慶長の役(李氏朝鮮時代)のとき、亀甲船で日本軍を破った韓国の英雄で、韓国のいろんなとこにその像がある。確かその亀甲船の像ももソウルでみた記憶がある。聞いたところでは、宇宙戦艦大和の韓国リメイク版、その名も「宇宙戦艦亀甲船」というアニメがあるという。亀の口から撃たれる波動砲を一度見てみたいものである。
奥にある建物の上に、八角屋根の釜山タワーと水族館が並んで建っている。映画「チング」でも出てきているところを見ると、かなり古くからあるタワーなのであろう。開館時間は、夏:午前8時半〜午後10時、冬:午前9時〜午後10時(年中無休)である。9時少し前で開館しているはずだが、人が誰もいない。どうしようかと思って、切符販売所の前で困っていると、突然目の前で声がした。誰もいないと思っていた販売所にお姉さんがいたのだ。何とそこの窓はミラーガラスだったのだ。タワーの入場料は2500w、隣の水族館が1500w、セットだと3200wである。韓国最大の漁業基地釜山だから、近海の魚介類の韓国風水族館を期待して、私はセットでチケットを買った。
タワーの中央にあるエレベーターのスイッチを押すと、ドアが開いた。エレベーターガールが笑顔で迎えてくれるが、エレベーター内はギンギラギンである。ちょと気が引けたが乗らないのもおかしいので、お姉さんと二人きりの密室に入る。なんかどこかの歓楽街のビルのエレベーターの雰囲気である。途中に階はないので、エレベーターの表示は、m(高さ)で出る。息詰まる時間が流れる。やがて、お姉さんはちょっと何か話しかけたが、もちろん分からないので、言われるままに開いたドアから出る。
出たところは展望食堂である。窓際にはずらりとテーブルが並ぶ。もちろん客は私一人。アジュマが身構えたが、もちろん食事をする気はない。そこで「サジヌルチッコシポヨ ケンチョナヨ?」とアジュマにアピールする。写真を撮ってもいいらしいので、テーブルから写真を撮る。苦労して位置を変えながら何枚か写真を撮っていく。
ふと見ると階段があり、どうもまだ上に行けるようだ。おそるおそるその狭い階段を上ると、なあんだ...。上に展望室があるのだ。ここが高さ120m、標高180メートルの展望台である。天井にはそちらの方角の包囲や説明、それに昔の釜山の様子などのパネル写真もある。また、コインを入れて覗くと金剛山や白頭山などの写真が見える機械も並んでいる。この展望台を独り占めして、しばらくあちこちと位置を変え、釜山の景色を堪能する。ほとんど真下の景色まで見ることができる。
やがてその贅沢な静寂も、すさまじい声でかき消された。下の階から押し出されてきたのは、日本のおばちゃんの大集団だ。この人達は、目よりも口で鑑賞する。次の団体が登ってきたときには、私のせっかくの旅情も破壊されかねないことを悟り、降りることにした。例によって鏡張りのエレベーターで、お姉さんと二人っきりの静かな時間を過ごしす。
降りたところは2階である。あれっと思ったが、例によって一階に下りるには、ぐるりと土産物屋を通らなければならない仕掛けだ。土産でも..とふと思ったが、こんな所の土産は当然高い一般品。最初の客にあわてて定位置につくアジュマを横目に、わざわざ朝から荷物を作ることもあるまいと1階に降りる。降りると目の前に水族館がある。
2002' 8/29