中央郵便局から国際市場へ
日本や科学、歴史関係の書籍や図鑑類、日本コミックの購入を考えていたが、本は重いし、ザックには入りにくいので、一気に宅配で自宅に送ってしまおうと思っていた。ソウルと釜山の中央郵便局ではパッキングも含めてきわめて効率的に日本に送れると案内書には書いてある。ということで、釜山の中央郵便局に向かった。
中央郵便局は、建物は一応ビルだが、何となく雑居ビル風で、中のカウンターも日本の地方都市の郵便局程度で窓口も10程度しかない。奥には封筒や便せんなどを売る売店がある。この売店を除くと、事務的でお役所のようだ。国際小包を送るのには、どの窓口に聞いたらいいのか分かりかねたが、パッキングをするコーナーが左端にあるので、そこに最も近い窓口の女性職員に聞いた。聞いた内容は、数kgの荷物を日本に送るのにどのくらいの代金が必要なのかである。会話はおおよそ片言の英語で、なかなか通じないので、その女性職員は隣の女性職員を呼び、そのうち心配した男性職員も寄ってきた。どうも送金する方法を聞いていると勘違いされていたらしい。やがて、おおよその内容は理解できたらしく、分厚い規格書?をめくりながら調べていた。すったもんだのあげく3kgの小包を4日(航空便)くらいで送るのに2万5千w、20日(船便)くらいなら1万5千w、そしてパッキング代は大きさにもよるが3千wということが分かった。料金の一覧表のパンフレットをもらえるようにいったが、それはないとのことだった。韓国第二の都市、日本との交流も多い釜山の中央郵便局なので、日本語がだいたい通じると思っていたが、それが全く通じないのと、国際小包が一般的でないのにとにかく驚いた。対応は誠実ではあったが..。記念切手のようなものもあるので、買っていこうかとも一瞬思ったが、エネルギーをかなり使ってしまったのでやめた。ちなみに後で釜山駅の近くに釜山国際郵便局を発見。このような業務はそちらが専門なのかも知れない。
大庁路を西に歩いて、左に釜山タワーを見ながら国際市場に向かう。500mも歩くと、左手の路地がそれらしき雰囲気になりだした。さっそく国際市場を見て回ることにした。まずは大庁路と光復路の間を下ったり登ったりして、西に向けてジグザグに南北の通りを全て歩く。次に東西の路地を南から北に向けてジグザグに歩き、国際市場のほとんど全部の路地を踏破した。感想としては、大きな眼鏡店が多いこと、食料品店は少ないがバックや衣料、その他品物に関しては多種多様であることだ。看板に日本語も目立つが、いわゆる古い字体の漢字や、間違った表記が結構あって、それを見ているだけでも退屈しない。今回は書籍やメディアの購入を買い物のメインにおいているので、店の中には入っていかなかった。重い登山靴が傷だらけなので、そのための茶色の靴墨を買っただけだ。
ふと見ると、国際市場から大庁路をはさんで向こう側に本屋街のようなものがある。そこで大庁路を横断してそちらに向かう。そこは本(おそらく古本)がずらりと並ぶいわゆる市場で、神田の古本屋街のような雰囲気ではない。韓国の地理(特に地図帳)や歴史、文化の取っつきやすい本を探したが、たくさんある本の中にもなかなかない。日本製の専門書類は結構ある。結局、漢字の表記、中国語や日本語の読み、ハングルの読みが書かれた、ポケットサイズの漢和辞典を1万wで買ったくらいだ。
コミックの専門店も結構ある。未だに日本製の漫画の焼き直しが多いが、韓国オリジナルと思われるものも多いのだろう。表現が似ているので、区別ができない。韓国版の日本漫画は、西洋版のように左右が反転したものも多いが、最近のものは横書きでも反転しない傾向があるようだ。二店のコミック専門店で、私は「スラムダンク」「海猿」「コナン」「ドラゴンボール」「競艇少女」を買う。一冊2千w程度だ。
最後に入ったコミック専門店は、見るとおなじみの日本漫画韓国版がずらりとある。おもしろいので、その中で日本でもおなじみの「風の谷のナウシカ」「どらえもん」「クレヨンしんちゃん」等を選び、レジに持っていって「オルマエヨ」とずらりと並べる。すると女性店員は何か言って、困っている。そこでもう一度知っている韓国語と英語を駆使してゆっくり説明するが、ダメだ。相手はこの本は売れないと言っているようだ。外国人には売れないのか。はたまた日本人だからか、身分証明でもいるのか、いろいろ考えるのだが、分からない。ついにその若い女性店員は、携帯で誰かを呼びだして、少し待てと言う。しばらくすると息を切らせて若い女の人が来た。そして一言「これらの本は売る物ではありません。貸す物です。」なあんだ。すぐに悟った私は、礼をしてその貸本屋を出た。
2002' 8/28