雪嶽山登山口へ

 5時に起きて、しばらくテレビを見ながら、ゆるゆる出発の準備をする。洗面をしてこの部屋を撮っておこうとしたが、カメラが動かない。今まで撮った画像は見れるが撮影にしたとき、せり出してくるレンズ部がうまく動かない。今日からいよいよ登山だというのに困ったもんだ。韓国の旅館はどうもフロントは、主人の居住部屋らしい。3畳ほどの部屋に雑魚寝に近い状態で横になっている。まだ灯りもついていないが、挨拶をして、鍵を渡して7:00過ぎに出発する。やっぱり鍵をおいて、そのまま出ていった方がいいのか?
 昨日教えられたバス停は宿からすぐ近くなのだが、本当にバスが来るのか心配である。作業員らしき人も数名バスを待っている。7:20くらいに7−1番のバスが滑り込んできた。バスの前に指されているソラクサンの札をちらりと見て、一応「ソラクサン・カヨ?」と聞くと、宮川大助に似た運転手は、乗るように合図した。距離的にお釣りがあるだろうと千wを入れると、出てきたお釣りは350wだから、ソラクサンまでは650wだということになる。
 外は小雨で、あまりいい天気とはいえない。先日通った国道七号線を南下し、山側に折れると雪嶽山に向けて一直線である。やっとここで安心してバスに乗れる。バスはほとんど平地を走り、回りはポツポツと人家がある。時折ドライブインや土産物の店があり、その周辺に宿らしき建物も点在する。やがて大きなホテルが見えだし、ちょっと谷にさしかかったと思ったら、やがてケンシントンホテルのちょっと上の広場に出て、バスは8:00頃そこで停まった。
 バスから降りると、外はすがすがしい空気だ。天気は少しずつ回復しているようで、空は明るくなり、遠くにロープウェイのある華彩峰の岩壁も見え隠れしている。まずはカメラを買う。山ではストロボはほとんど無意味、またストロボをたくことは、写真をほとんど撮らない(とれない)韓国では遠慮したいので、ストロボなしのカメラと小ファンのための単4電池を12300wで買う。
 普通の登山開始にはもういい加減な遅い時間だが、腹が減っては話にならないので、名朝食をそこの食堂で取っていくことにした。ここもハングルだけなので、ちょっと悩んだが、5千wのサンジェビビムバプ(山菜ビビンバ)と2千wのキンバプ(海苔巻き)を頼んだ。ビビンバプは日本人でも比較的抵抗無くおいしく食べられる韓国料理なので、昼食用に考えていたが、さすが登山口の食堂、説明しようとしたら手振りでテイクアウトなのが分かったようだ。一応セルフサービスの店なのだが、アジュマが料理を食卓まで持ってきてくれた。そして、チューブに入ったのがコチュジャンで、必要に応じてかけるように説明してくれた。キムバプは、プラ折を黒い小さな袋に入れて割り箸までつけて持ってきてくれた。ミッパンチャンは、カクテキにペチュキムチ、昆布のナムル、海苔のスープである。コチュジャンも入れ、しっかり混ぜて、口に運ぶ。うまいし、ボリュームもある。
 夕食と明日の朝食は、韓国の山小屋の様子を知るため、山小屋でできるだけ取ることとし、軽量化のためできるだけ食料は持っていかない。ハングルの登山地図で見る限り、ここからの高低差は1500mあるが、標高1707mのこの山への全行程は9時間程度で、その間に山小屋が2つ、避難後屋が2つもあると、地図には書いてある。さらに、韓国で最もメジャーな山であることを考えれば、日本では初級程度の山だ。走るのには、まだ私の両足には不安が残るが、歩くだけならそうは心配いらないだろう。さらにの最もメジャーなコースだから立ち往生してもせいぜい2〜3日だろう。一応緊急食としてビスケットとバナナ牛乳を買う。必要なら途中の小屋で購入すればよい。インターネットでみる山行記でも、ここの山小屋には売店があることは確かだ。
 8:30頃、売店を出てしばらく歩くと、国立公園の入園券売り場がある。2800wを支払いすぐ前にあるゲートで男の人にもいでもらう。入場券売り場にある観光案内所で、日本語の地図があることを聞いていたが、つい忘れてしまっていた。後で気づいたが、とりあえずはハングルの登山地図で十分だ。文字の表記はともかく、記号なども日本の登山地図と同じだからである。
 熊の像に迎えられて国立公園内に入ると、そこは広場になっていて、ここにも食堂も売店もある。ふと見ると、売店前に登山用のストックが展示していある。サス付きのアルミの軽量三段折り畳み杖が良かったが、2段折り畳みのサスなしステンレスで結構丈夫そうだ。1万wで購入する。
 しばらく行くと、鎌倉の大仏に匹敵する大きさの輪光を背負った釈迦如来座像がある。手印は悟りを妨害する悪魔を降伏するという降魔印で日本では見たことがない。これからの登りにも気合いが入るというものだ。

   2002' 8/25