蔚山から安東へ

 出発が早いので、蔚山散策はできそうもない。朝起きると、「海へ行きましょう」と「神様お願い」を観ながら出発の準備をする。窓から外を見ると、いい天気で、左写真のように昨日歩いた駅正面の大通りもよく見える。6時52分部屋を出る。右写真が今回宿泊したモーテルである。
 なぜか広い駅前通りの北には横断歩道がないので、無理矢理根性渡りをして、何とか7時2分、駅に着いた。駅は家族連れでごった返している。まさか安東まで座れない?と不安だったが、ちゃんとシートNoの入ったチケットを9600wで購入できた。7時10発の釜山行きの改札が始まると、家族連れはほとんどそちらに行ってしまい、構内はすいてきた。でもなぜか出発時刻の20分になっても、まだ改札をしている。 腹も減ったので、すいてきた構内の軽食屋でメニューにあるキムパプを注文したがないと言う。店員はホットサンドばかり忙しく作っている。売店でバナナ牛乳を買って飲み、待合室に行くがここも冷房はきいていない。しばらく右写真の待合室にある箱庭園を眺めていたが、結局24度の外の方が涼しいので出る。外には蔚山周辺の観光地案内の写真がある。観光案内所もあるがまだこの時刻にはあいていない。
 10分前になって、やっと改札が始まる。いそいで改札をすましてホームに出るが、7時42分発のムグンファは定刻になっても姿を見せない。他の客も待っているので心配はないだろうが・・・。松の並木のきれいなきれいな駅である。
 そうして、7時46分になってやっと、写真のように安東行きの列車がホームに滑り込んできたのであった。このように列車の時間は、バス以上にアバウトである。秒単位のノルマのために事故を起こしてしまう日本の電車とは対称的である。指定の3号車45番の席に座る。西側の窓際の席で、目の前に窓にしきりがある他はいい条件である。客は9割方乗っているが、終点の安東まで隣の席に座る者はなかった。蔚山の街を過ぎると、なだらかな棚田が広がるのどかな田園風景の中をディーゼル機関車は走る。
 8時32分、慶州駅着。その後列車は慶州の街の郊外をぐるりと回り、西に向いたかと思うとそのうち北に向きを変えていく。右の写真は、その途中、慶州郊外の高層アパートが兄山川の川面に映っている場面である。9時頃、頂上に4つのピークのある大きな山が前方に見えてきた。おそらく大邱の名山、八公山であろうか。リンゴ畑なんかもあるが、ほとんど代わり映えのしない農村風景が続く。山上に閣船楼?という楼閣が見えてきたかと思うと、10時22分、義城駅に到着した。安東はもう少しである。
 10時52分、金海以来、再び洛東江が見えてくる。この夏はかなりの集中豪雨がこの半島を苦しめたが、まだこの川の水は東南アジアの川のように濁流で、川幅も広い。11時55分、安東駅に到着する。ホームの連絡路には周王山の他、安東焼酎を製造しているところなどの大きな写真が掲示してある。見覚えのある安東駅前はとても懐かしい。思ったほど暑くもないのでほっとする。さっそく駅の横にある観光案内所(左写真)に行く。周王山に行きたいと言うと、パソコンで検索し、きれいな日本語で11時45分のバスがありますと説明してくれたが、パンフレットはなかった。
 少し時間があるので、朝食兼昼食をとるため、バスターミナルの前の食堂に入る。聞いたこともない「チェヨクトッパプ」(4000w)を注文する。これは、右の写真でもわかるように鶏肉に甘辛ソースのかかったこってりとしたビビンバという感じのものである。コンソメスープはおいしいが、暑い盛りには、ちょっとむつこくて、遠慮したい料理である。
 11時30分、食堂を出て、路地のようなところを通ってバスターミナルに向かう。周王山行きのチケットを6600wで購入し、もう来ているよと言われて乗り場3番に向かう。今日は順調な旅程だと安心したが、残念ながらそうはいかなかった。バスはきていなかったのである。 定刻の11時45分になると、職員が周王山方面の客を案内するので、ついていくとターミナルを横切って対面のプレハブ小屋(左写真)に入れと言うではないか。そこは役員の事務所らしく、しっかり冷房も効いており、ふんぞり返って座っていたおえらいさんが、客に頭を下げながら状況を説明している。どうもバスが40分ほど遅れているようなのでここで待てということらしい。二人の若い女性の職員がミネラルウォーターを20人ほどの客に配っている。客の中にいる2人の西洋人の女性には特に親切である。そのうち、お菓子を配ったりテレビをつけたりとやたら世話をしてくれる。テレビは「朱蒙」の腕比べ(目隠しをして矢を射る)の名場面だ。前のアガシは2台のカメラを持っており写真愛好家らしい。その一台はミノルタX700であるが、もう一台はわからない。そのうち、バスは13時に来ると説明があった。そうして13時になると、客は外に出された。そこにはバスが待っておりそれに乗れと言う。私の前の数名が乗った後、何かごちゃごちゃ私に言うがよくわからない。仕方ないといった風でそのバスに案内した。その後、数人が乗ったが、その後の客はどこかへ行ってしまった。バスの中にはここで乗った私を含めた6人は席がない。後の客は次の13時30分の便に回ったのかなと考えていると、すでに乗っていた客と運転手がマジで口論しだした。カッカきている運転手を職員がなだめている。このバスはソウルからの便らしい。想像だが、通常のバスはこれなくて、ちょうどこのあたりを通る周王山への直通便が回されたのではないだろうか。乗客はこの時間のロスに納得いかないのだろう。
   2006 08/12