西面散策
実際に行ってみると、地下鉄西面駅は思ったほど混雑してはいない。地下鉄駅の上は地下街で、まずは地下街を南に少し歩き、地上に出て、途中にある東宝書籍という大きな本屋による。この日は天気も良いので、「トオチュケソヨ」を連発しながら避難したといった感じでもある。
この本屋の入口近くは子供用書籍で、奥には教科書があった。ほしい物がたくさんあったが、持ち歩く荷物が多くなるので、後で買うこととする。とりあえず、中学校の歴史の教科書(2千w?くらい。本文は全てハングル)だけを買って、店の中を見て回る。ビルの二階は、小説などの文芸書、三階は専門書といった感じだ。三階の科学のコーナーに行き、手軽な図鑑を探す。結構マニアックな研究や韓国の動植物の専門書は多いが、このコーナーの本は2万w〜4万wと日本ほど高く、一般の人が買える代物ではないようだ。子供用書籍も含めて一般人のための手軽な図鑑や科学の図書はほとんど見あたらない。値段も高いので、いろいろと見るだけで、東宝書籍を出る。
大和(テファ)デパートは、その日は休みらしく、閉まっている。そこから西の映画館通りを歩くが、特にめぼしいものがあるという雰囲気でもないので、案内書にあった食堂街に向かう。ところがその通りは、大規模に造成中で、ほとんどの食堂は姿を消している。腹も減っているのになんか裏切られたようで、とぼとぼとそのまま歩く。
と、いつの間にか、通りの家々は建材や工作機械があふれる街になってきた。タービンやエンジン、からボルトやナットまで何でもそろう店の多くには、奥に旋盤があって機械関係製造業の活気がビシビシ伝わる。私は、ファッション街や娯楽街、歓楽街なんかはあまり好きではなく、このような生活の感じられる街が好きである。アキバや大阪の日本橋、京都の錦は毎年のように行くし、昨年末は上野〜浅草の問屋街、築地を散々歩いてきた。なんかドキドキしながらこの街を歩き、元気が出てきた。やがて正面にミリオレが見えてきた。このミリオレは、ソウルでもそうだったが、どれもギンギラのステージがあって、どうも中規模のファッションデパート?という位置づけの店らしい。ちょっと入ってみたが、日本のちょっと大きな街のスーパー程度の品揃えなので、少し涼んで出ることにした。
次は西にそびえるロッテビルに行ってみようと思い、しばらくまっすぐに歩き、地下街に入り、地下鉄西面駅の1号線改札前を通り、2番線前を通り、ロッテデパートの表示に従い、西に歩く。ロッテデパートに地下からはいる。地下の食料品売り場、1階の化粧品売り場、2,3階の婦人服売り場と日本のものとほとんど同じである。エスカレータで各階に上がり、店内を観察するが、さして興味を引くようなものはない。
7階?まで上がると、「免税店」の表示がある。おもしろそうなので、入ってみる。私は、高価なブランド物についてはその価値に対して否定的だが、今くたびれている財布の替わりになるような安い出物があれば、検討しようと見て回った。ふと、ダンヒルのショーケースに手頃な財布があり、買おうかと思った。値段を聞くと流ちょうな日本語で「二十万wです」と言われる。2万円の財布なんてばからしいが、話の種にはなるかもしれない。wの持ち合わせがそんなにないというと、円でもいいですよというので、二万円は日本円で、残り(13000wくらい)をwで支払った。免税店で買い物などしたことがないので、そのまま持って帰ろうとすると、止められた。免税店で買った物は、出国しないと渡せないらしい。パスポートを見せ、サインをし、出国時間を言うが、出国は今日のことである。ほんまにとどくんか...と疑ってみたが、店員は自信たっぷりで引換券を渡した。要するに国の外だから税金がかからないってことか...とは思ったけれど、税金はともかくこんな高級品は、その分の価値があるんだろうな。ブランドとは、品質保証の最低ラインと考える私は、名前には興味ないけど品が良いならそれはそれでよいが、マニアしか知らないような一時期のデザインで金を取る品物には手を出したくない。
それにしてもこの免税店群のすました雰囲気、そして完璧に近い日本語を話すだけでなく、仕草や言葉の一つ一つにも嫌みがなく、洗練された店員がいるということは、結構もうかっているということだろう。
免税店を出ると、電気製品のフロアに向かう。ここには結構、日本のメーカーの名前の製品がある。そして、テレビゲームのコーナーも小さいながらもある。さっそく見てみると、ほとんど全て、パソコン用のゲームである。プレステもGCもDCもXボックスもゲームボーイすらない。韓国ではゲームは、アーケード以外では、PCバンか自宅のパソコンでやるわけだ。しかしその中、ゲーム機として唯一プレステ2がドンとアピールしている。テレビでもたまにCFが流れていて、どうも今年、韓国に売り込んでいるらしい。展示品で楽しんでいる子どもは結構喜んでいるようであるが、ソフトを売っているところが、今回の旅ではほとんど見かけなかったので、まだブレークするには至っていないようだ。ブロードバンド化が世界一進んでいる韓国では、コンピュータのネットワークゲームがサクサク動くらしい。ネットワークゲーム元年の日本とは畑が違っている。Xボックスの不振とFFXIで、トラブルの続く日本のネットワークゲームが、今いちの日本と対照的でおもしろい。
ロッテデパートを出ると、地下鉄に乗って再び南浦洞に向かう。ちなみに地下鉄2号線の切符販売機は1000wが入れられるようになっている。
2002' 8/29