珍富から江陵へ

 山門からしばらく歩くと、国立公園の出口のゲートに出た。ここには3畳ほどの広さのプレハブの事務所があって、2人の職員がいる。一人は事務所の中に、もう一人は外で車を停止したり直接入園券を手渡す係のようだ。その20mほど下には旅館らしいところ、土産物屋兼食堂も3つほどあるので、ここならバスも停まるだろうと考え、事務所で聞くことにする。
 職員に聞くと、事務所の対面の少し広くなったところ(公衆便所もある。)にバスは停まることとを教えてくれ、次のバスの時間も書いて教えてくれた。バスの時間まで30分ほどあるので、食堂によって昼食をとることにした。食事をするにはちょっと短い時間ではあるが、急いで食らべれるものを何か探そう。昼時だというのに広い食堂の中には客は誰もいない。私はさっそく席に着くと、痩せたアジョシにビビンバを注文した。困ったときのビビンバ(日本人にとって手軽で安心して食べられるメニュー)である。実際、出されたビビンバは、今日最初のまともな食事であったこともあってとてもおいしい。
 さっさと食べて、代金を食堂のアジュマに渡し、外に出た。雨の中バスを待つ。やはり右側通行のバス待ちはなんか変な感じがする。時間から少し遅れてバスが来たので乗り込む。バス代がいくらだったかは忘れたが、このバスの運転手は、さっきの月精寺までのバスのヤンキー兄ちゃんとうってかわって、真面目そうなアジョシである。ちゃんと黒革靴を履いて背筋を伸ばして真面目に運転している。先ほどのバスでかかとを踏んだ靴をおいていたトレイのあったところには、モップを入れたバケツがドンと置いている。ある意味で、これも日本では見られない光景である。韓国のバスは、乗ると下車地点までのバス代を運転手の横の料金箱に入れる。運転手はハンドルの右下にあるお釣りボタン(コインやその個数によってボタンが違うようだ)を必要に応じて押してお釣りを出すのである。
 何事もなく、小降りになった雨の中をバスは珍富に向かう。ここから江陵出発までは全くメモを取っていなかったので、時間や金額などはちょっと正確ではない。珍富では、ホテルに預けていた荷物を取りに行く。バスターミナルで荷物を整理し、出発の準備をする。江陵行きのバスに乗って、江陵をめざす。一度来た道だし、江陵のバスターミナルはでかいので、他と間違うこともない。安心して乗っていける。
 韓国の高速道路は国道のように番号が振り分けられていて、江陵からは、東海へ5号線(東海高速国道)、中央へ4号線(嶺東高速道路)が走っている。週末のソウル近辺は、かなりの渋滞になるというが、江陵周辺は結構すいていて走りやすそうだ。乗り方や雰囲気は、右側通行であることを除いては、日本とほとんど変わるところはない。行きと同様に一度高速を降りて、フィンギ?のバスターミナルに寄った後、再び高速に乗り、江陵に向かう。
 天気も回復してきて、もう雨の心配もなさそうだ。何といっても今回の旅行の目標である2つの山の登山は無事終了した。両足の筋を痛めて走ることもできない状態でさらに全行程登山靴という、足には過酷な条件での山行は、かなり不安であった。昔からはき慣れた登山靴とはいえ、皮の重い靴(ザンバラン・フジヤマ)は足には窮屈で、靴を脱ぐたびにかなりホッとする。親指や人差し指にはすれて痛くなった所もあるし、特にアスファルト道の歩行はしんどい。裸足で歩く方がいいくらいだ。そんなことをかんがえているうちに江陵総合バスターミナルに着いた。

   2002' 8/27