大青峰登頂
朝の4時には、多くの者がごそごそしだした。このへんは日本と同じだが、もう8月の末、夏も終わりで、日の出は6時前だからそんなに出発を急ぐ必要もない。4時半には、半分くらいの人は宿泊部屋を出ていった。韓国でLEDライトは全く見かけない。私のLEDライトの白い光は行動に十分の光量があり、電池一本で何日も寿命があり、外国での使用には心強い。私は5時頃、外に出てトイレに向かう。トイレは、街の公衆トイレは洋式がほとんどだが、ここでは和式?で明るく広い。
そろそろ空も白み始めた登山道を頂上に向かう。小屋のすぐ上にはヘリポートもある。登山道ははっきりしており、まず間違うことはない。薄くガスが出ているが、束草の街の灯も見えるし、月が出ていて頂上付近の視界もある。花崗岩質の岩は明るく傾斜もそれほど急ではない。そのうち小屋の方でばたばた音がかすかに聞こえてきた。やはりこの小屋も発電器が回っているのであろうか。少しずつ、そして確実に高度を稼ぎ頂上に向かう。振り返ると中青峰が静かにたたずんでいる。
5:30には、大青峰の頂上に到着。山頂にはハングルでテチョンボンと刻まれた大きな石が乗っている。インターネットの写真でも知っていたが、日本のような立て札の乱立する山頂と違って品がある。その袂には三角点らしきもの(写真)もある。山頂は、樹木のない岩の露出する視界の開けたなだらかな広場で、かなりの人が山頂を共有できる。この時はすでに十人くらいの人が山頂に陣取っている。だいぶまわりは明るくなってきたが、日の出の気配はない。見えていた束草の街の灯も明るくなるとともにガスの下に消えていった。やがて標高2百〜3百m以下は雲の下になり、その上も薄いガスがたなびいている。昨日登った千仏堂渓谷は、眼下にそのゴツゴツした景観を見せている。あれほどの渓谷も今となっては小さな箱庭のように見える。江原道はそうなのかもしれないが、なんかここんところずっとはっきりしない天気だ。6時前になっても日の出は見えそうもないので、そろそろ下山の計画を練る。
山頂からの写真を撮っていると、昨日の二人が声をかけてきた。山頂での記念写真を撮ってくれというのである。その後、また私も撮ってもらった。私もここ数年は自分を入れた山の写真を撮っていない。久しぶりである。その後、彼らに「カンサハムニダ。シンセ・マニ・チョッスムニダ」とお礼を言い、ザックを背に負った。「アンニョヒ・カセヨ」と彼らも答え、見送ってくれた。彼らは小屋に戻り、今日はクグクダン渓谷の方に下山する予定だそうだ。サンプルの山頂の石を拾うが、もしかすると出国チェックでひっかっかるかもしれない。そのときは登山で紛れ込んだと答えられるようちょっと小さめの石を採集した。
山頂部はほとんど樹木はないので、視界は広々としている。山岳地図によると、フィウンカク小屋へと直接下るコース、北東の華彩稜をケーブルのある権金城へ下るコース、南東尾根から下山するコースの3つのバリエーションルートが記されているが、その掲示板もない(みたいだ)し、必然的に案内板のある五色温泉への下山コースへ向かうこととなる。地図によると頂上あたりに避難小屋があることになっているがこれも確認できなかった。これからは五色温泉まで一気に下山だ。
2002' 8/26