メトロホテルを探して明洞へ

 降りたのはいいが、正確な位置と方向が分からない。目標となる建物も見えないし、雨の中では地図も開けられない。腕時計のコンパスで方位は分かったものの現在地が分からないのでは動きようがない。雨宿りするところをうろうろ探していたら、雨も強くなって、市場のテントからも水が落ちだし、時には滝のように水をかぶる。何でもある南大門市場だが、こんな時は傘が見あたらない。
 と、コンビニ発見!コンビニは何故か日本の社会の慣れた私には、オアシスのように思える。入って折り畳み傘を買う。12000Wが聞き取れない。麻雀のせいで、イーの発音が1と判断してしまう。というわけでコンビニ店員に私の財布から12000Wをぬきとってもらった。でも、物価の安いはずの韓国で傘がそんなに高いのか?とも思ったが、コンビニが足元を見るわけないし、それだけ良い物なのだ。まだ、一万wが千円という感覚にも慣れていない。雨は止みそうもない。とりあえず南大門を探すことにしたが、しばらく歩いて、「第一銀行」を発見。ここで地図と方位が一致して、現在地の同定ができた。ホテルの方角が分かってそちらに向かった。  雨の中、とりあえずひたすら明洞のホテルに向かう。メトロホテルなのだが、雨の中なので、メモを取り出すのも面倒で地図にあった同じかカタカナ3文字の「サボイホテル」と勘違いしてしまっていた。街歩きは得意なので、一度地図で確認できたら間違わない。最短距離でサボイホテルに到着した。かさをおろし、胸もなで下ろしつつフロントに向かう。「ヤマネリュウジイミダ」という。フロントは予約表をチェックしながら首を傾げる。どうも予約に私の名前はないらしい。荷物からポートフォリオを出し確認すると....「メトロホテル」の間違いだ。何やっているんだ。
 「チェソンハムニダ」といって外に出る。ボーイが日本語版の明洞地図を持ってメトロまでの道順を角まで案内してくれる。フロントも含めとても丁寧で気持ちのよい対応だ。教えられた道をまっすぐ歩くと、やっと今日の宿泊先のメトロホテルが見えてきた。フロントに行き、こんどこそ自信を持って名前を言うと、すぐに確認し宿帳の記入を指示された。ちょっと記入欄を間違えた後、パスポート番号を聞かれて困った顔(出すのが面倒なので..)をするともういいといったふうで...814のキーをわたされた。事務的で見下したような対応で、このホテルは印象が悪かったが、ただ、早く一息つきたいというのがその時の気持ちでいっぱいであった。館内の冷房はないようで、ムンムンする廊下を歩き、部屋に入る。
 部屋はダブルで、風呂やトイレは広い。今回の旅行では結局、全て荘旅館に泊まるが、ほとんど作りはここと一緒であった。入ったら、机がありその上にどんとテレビが置いてある。ベットの横と奥にスタンドがある。机の奥隅に小さな冷蔵庫があり、ミネラルウォーターが入っている。韓国では水道水は飲用に的さないということである。たしかにバスルームの水道も蛇口をひねれば最初は赤い水が出ていた。
 それはいいとしよう。しかし問題は、この薄暗い部屋の電灯がなかなか点かないことだ。ライトコントローラが全く機能しないのだ。冷蔵庫もバスルームも電気がついているので電気を止められているわけではない。テレビもスタンドも結局コントローラーや壁スイッチではなく、直接ライト(傘の中のスイッチで)をつける必要があったのだ。しかも、コードは短く固定されていて動かしようがない。そこでデスクを照らす方法がない。電源は全て220V。窓は網戸付きの木枠でなかなか風情はある。窓の下部に小さいクーラーがあるが、表示が全てハングルなので、メモリがよく分からない。がちゃがちゃやっていると冷風が何とか出だした。旅行会社の取ったホテルなので、いくらか分からないが資料によると一泊63270Wである。日本でこの価格ならまあいい方なのだろうが、その後泊まった荘旅館がほぼ同じ設備で2万〜3万5千Wであったことを考えれば、ソウルのホテルの宿泊料はおおよそ地方の2倍なのか?
 濡れたザックから荷物を全部出してベットに広げ、これからちょっと、この日散策するコースを検討した後、ソウルの地図とサボイのボーイにもらった地図と青本(会話集)、傘だけをもって15:30ホテルを出た。

   2002' 8/22