ある日、今にも死にそうなじいさんがいたそうな。
 そのじいさんに、孫が二人おって、その一人の孫が死にそうなじいさんにきいた。
「じいさん、じいさん、宝はどこに隠しているんだい。」
すると、じいさんは
「宝はうちの畑に隠してあるぞ。」
と言ったそうだ。

 その話を聞いた二人は、えっさ、えっさと畑を掘りだしたが、隅から隅まで深く掘っても出てこないので、止めてしまった。
そして、稲を植える時期がやってきた。そこに稲を植えてみると、すごいことに昨年の二倍は米ができたそうだ。
孫は宝をあきらめず、2年、3年と再び畑を掘ったが、宝は出てこない。
2年目には米が三倍、3年目には米が4倍と増えていく。

 そのうち、孫たちは、
「これが、じいさんがくれた宝物だったんだ。」とさとって、4年目からは宝をさがさなくなったということです。



  出典:二名津中学校「郷土の昔話」・・・平成3年度 田中トウ子(松66歳)伝,編集:ようこ(5119)