坊主畑の大ヘビ

 昔、松から三崎へ行くには今のような海岸線を回る道はなく、伽藍山の肩を越える「つん越え道」を通っていました。
つん越え道の峠であるつん越えには、ツンゴエ様というお大師様をおまつりしたお堂があって、年に一度のお祭りにはその前で相撲大会もしていたそうです。つん越えを少し下ったところに、坊主畑という場所がありました。

 昔、ある人がつん越え道を松から三崎に向かっていました。
坊主畑まで行くと、大きなヘビが道を横切っていました。
蛇が通りすぎるのをしばらく待っていましたが、胴回りも太く長い蛇なのでなかなか道を通ることが出来ません。
それで待つのがいやになったその人は、そのヘビに向かって「ごめんなさい。」と言って、またいで通ったということです。
 翌日になって、蛇をまたいだその人は、高熱で寝入ってしまったそうです。

 今は車で海岸まわりの車道から三崎に行くので、その道も通る人がいなくなって荒れているということです。


  出典:二名津中学校「郷土の昔話」・・・平成2年度 宇都宮敏子(松66歳)伝,編集:ごち(5402)