そんなある日のことです。友達が、
「そのいぼが百になったら死ぬそうな。」
といって僕を笑いものにしました。
それを聞いて僕はとても不安になり薬局にいって相談をしてみましたが、いい薬はありませんでした。
しかたないので、いよいよ病院に行っていぼを焼いてもらいました。
しかし、それでもいぼは次々とできるのです。
そんなある日のことです。明神に住んでいる同級生からこんな話を聞きました。
「明神のお薬師さんの中にあるいぼ神様にお祈りすると、不思議なくらいきれいにいぼが治るんと。」
「そこに自分の歳の数だけ米粒を持っていって、いぼ神様の中の方にある壺の水に手をつけてお祈りするや。」
僕は、わらにもすがる気持ちで、お米を握りしめてその日のうちに明神に走って行きました。
明神の薬師堂に着いた時には、もう夕暮れになっていました。このお堂に行く途中の道は墓地になっていて、日も落ちていたこともあって、さすがに気味が悪く足がすくみました。
僕は勇気をふりしぼってその中を走って薬師堂に入ると、いぼ神様がみえてきたのでほっとしました。そして、かけよってみると、同級生が言っていた通り小さな壺がありました。僕は、急いでつぼの前に行きお米を置き、必死で両手にいっぱい水をつけました。
次の日とその次の日は、自分の手にいぼがあることを忘れて遊んでいたようです。
そして三日目の朝になってふと思い出して自分の手を見ると、一年近くも悩み続けていた手のひらのいぼが、驚くほどきれいに消えていたのです。
その時、僕は薬師堂のいぼ神様がこのいぼを消して下さったのだと思いとても感謝しました。