い ぼ 神 様

 この話は、浜本さんが小学校二年生の時にあった出来事だそうです。ある日から、僕のてのひらに、一つ二つといぼができてきました。気になるので、カミソリで切ったり針でつついたりしていましたが、いぼは増えるいっぽうです。薬もためしてみましたが効果は、いっこうにありませんでした。

 そんなある日のことです。友達が、
「そのいぼが百になったら死ぬそうな。」
といって僕を笑いものにしました。
 僕は、とても不安になり、薬局にいって相談をしてみましたが、いい薬はありませんでした。いよいよ病院に行って焼いてもらいましたが、それでも全く治りませんでした。
 そんなある日のことです。僕の明神に住んでいる同級生から、明神のお薬師さんの中にあるいぼ神様に、お祈りすると、不思議なくらいきれいにいぼが治るという話を聞きました。自分の歳の数だけ米粒を持っていき、いぼ神様の中の方にある壺の水に手をつけてお祈りするんだそうです。

 僕は、わらにもすがる気持ちで、すぐに明神に走って行きました。やっと、お薬師さんのところに着いた時には、もう夕暮れになっていました。お薬師さんに行く道の途中にはお墓があり、日も落ちていたこともあって、さすがに気味が悪く、足がすくみました。僕は勇気をふりしぼってその中を走ってお薬師堂に入ると、いぼ神様がみえてきたのでほっとしました。そして、かけよってみると、同級生が言っていた通り小さな壺がありました。僕は、急いでつぼの所に行き、必死で両手にいっぱい水をつけました。

 家に帰った次の朝は、自分の手にいぼがあることを忘れて、僕は遊んでいたようです。そして、三日目の朝、気がついてみると、一年近くも悩み続けていた手のひらのいぼが、驚くほどきれいに消えていたのです。その時、僕はいぼ神様がこのいぼを消して下さったのだと思いました。

 
  話してくださった人・・・浜本清三郎(二名津 取材当時46歳)
  取材・・・・・・・・・・・・・・・平成4年度

  編集責任・・・・・・・・・・うさぎ(5111)