お  そ

 昔、三崎町のある地区の人達が、海岸で大きな「おそ」を引き上げて、それを食べたことがあるそうですが、それを食べた人は病気になったそうです。
また、ある日、魚つりにいった人が二匹の「おそ」を見つけたそうです。
歳をとった「おそ」は、人を化かすと言われています。その人は、夜、魚釣りに行ったときに、猫みたい動物を見かけたそうです。それから、その猫みたいな動物は海へもぐったんだそうです。変に感じたその人は、やがて
「これはなんという動物だろう?」
と思い、地もとの人達にそのことを聞いたら、それが「おそ」であると知らされました。
 ある日、この地区で一番強い人が、
「おそをこらしめてやる。」
と言い、海へ行ったそうです。その力の強い男は、「おそ」を見つけ出してヤリでひと突きしました。おそは死んでしまいました。
それからというもの、よく出没していた「おそ」もあまり姿を見せなくなったそうです。
 「おそ」とは、ラッコに似ていて毛がなくて体がツルツルしている動物だそうです。おそらく、今絶滅したのではないかと思われているニホンカワウソであると考えられます。

  話をしてくださった人・・・浅野ハル (平礒 取材当時七十九歳)
  取材・・・・・・・・・・・・・・平成6年度

  編集責任・・・・・・・・・・平成9年入学 かじこくん(5301)