のんしら山のはちまき岩

    兵藤のお屋敷は、宇和島の殿様が月に一回おみえになるお屋敷。そこのご城代はとても狩りが好きで、何ものが来ても鉄砲が打ちたいのです。
 のんしら山のはちまき岩、そこに七化けにも負けないような猫がおりました。その猫をうつために十二の玉を作り、かくしだまも一個作りました。猫ははちまき岩の上から玉を数えていました。ところが、猫は一つのかくし玉に撃たれてしまいました。はちまき岩の猫は有名な猫で、自分はかくし玉に撃たれるとも夢にも思わず、恨み続けたそうです。 そのあがり、畳二十八枚敷きのお屋敷に、妊娠した猪が走りこんできました。そこのご主人の兵藤たも衛門が鉄砲を向けたら、猪は(助けてくれ)と手を合わせましたが、撃ってしまいいました。死んだ猪をさばくと腹の中に子どもが十二匹おりました。
 後にそこの奥さんのおせいさんにも十二人の子ができました。その子らは妊娠すると亡くなり、頭(長女)としり(末っ子)だけが残りました。そうして猫や猪(いのしし)にたたられた兵藤のお家はとうとうつぶれてしまったということです。
しかし、養子の兵藤功さんが今、兵庫県くわはら郡中町うわのという所に住んでいます。

    話をしてくれた人・・・二名津 中井フジエ(取材当時91歳)
    取材・・・・・・・・・・・・・平成2年度

    編集責任・・・・・・・・・MI(5215)

「のんしら山のはちまき岩」現地調査報告