二名津の阿弥陀仏
二名津の村はずれに慈照院という寺があります。
その寺にはりっぱな阿弥陀仏様が祭られていました。
ある年の大掃除の時にその阿弥陀仏様を台座から下ろしていた寺男が阿弥陀仏様の手を折ってしまったそうです。
そこで、阿弥陀仏様を修理することになって、三崎の仏具屋まで阿弥陀仏様を持って行きました。
仏具屋には別の阿弥陀物様があって、仏具屋はそれも修理していた時でした。
やがて、出来上がる約束の日が来たので、寺の総代二人がそろって取りに行きました。
ところが、前からおいてある二体の阿弥陀物様もそっくりなのです。
どれが慈照院のものかわからなくなっていました。
仏具屋もこれは困ったものだと思ったそうですが、どうすることもできません。
そこで、二人の総代は三体の阿弥陀物の前で、手をあわせて、おがみながら、
「なんとか、どの方が慈照院の阿弥陀仏様でござりまするか、教えてくだされ。」
といったそうです。
すると、一体の阿弥陀物様が目をぱちぱちさせて、まばたいたのです。
そこで、まばたきをした阿弥陀物様を持ち帰ったということです。
なんと、ユ−モラスな阿弥陀様でしょうか。
今なお、その阿弥陀仏様は村人達の信仰の的になっているのです。
話してくださった人・・今村七郎(松 取材当時47歳) 橋本直子(二名津取材当時58歳)
取材・・・・・・・・・・・・平成6年度 平成3年度
編集責任・・・・・・・・平成9年入学 5303 10年度入学 5408