統一展望台への道

 13:30、さてここからリムジンバスに乗って統一展望台だ。で、待っているはずのリムジンバスは?....いないじゃないか。分からないので、下車するとき運転手に聞く。「トンイルジョンマンテヘンボス、オディエヨ?」運転手は、ちょっととまどった顔になった。他の運転手にも相談してから私に説明する。何とか理解した内容は、「ここからはバスは出ていない」「統一展望台にいくには、この先へ20分ほど歩くしかない」ということみたいだ。えっどういうことじゃ。「イーシップン?」と確認して、困惑していた私に、この気のいい運転手は同情して、ちょっと待てと言う。そしてある家族(主人と奥さん、20歳くらいの女の子、高校生くらいの男の子)を紹介して、この人達もこれから歩いて行くからついていけという。(たぶん)ちょっと不安だったが..それしか仕方がないので着いていくことにした。もう一人、軍人さんもいたので、彼が案内してくれるのかと最初は思ったが、彼はさっさと行ってしまった。その家族とも特に会話するわけでもなく(というよりはできない)きょろきょろしながらついていった。
 歩いてみると海岸線沿いに続く鉄条網はさらに威圧感が感じられる。ガソリンスタンドの前を通り、10分くらい歩くと、駐車場のあるレストラン「安保公園と休憩所」に着く。ここが展望台なのか?。とそこの地図を見るが、どうも展望台はまだ先のような気がする。そこのトイレに行って、さてどうしたものか、腹も空いたので昼食でも食べるかと思っていると、誰かが背中をつつく。一緒に来た家族の主人である。切符売り場のような所があって、ここで切符を買えと言っているようだ。言われるままに売り場に行って、「トンイルジョンマンテハンジャン」と言う。なんか言って書類を出し、説明しているがさっぱり分からない。みんなはなんか書類のようなものに書きこんで提出している。しまった、パスポートももってきていないし番号も控えていないぞ....。そこで主人が間に入ってくれ、「日本人で言葉が分からないが、私たちが連れて行くから切符を売ってくれ(たぶん)」と言って、私に4千w出すように言った。言われるまま4千wを支払うと、安保公園と展望台との青い往復切符(らしい)と2000wの展望台入場券の領収書らしき半券を渡された。それを持って道路に出て、2時半に来るという展望台行きのバスを待つ。
 この安保公園の前には整理員がいて、全ての自動車をこの安保公園の駐車場に入れている。それがちょっと中途半端な指示なので、ときどきそのまま通過していく車や通過した後、停まってバックしてくる車がある。
 2時頃、青いリムジンバスが来て安保公園前の広場に停まった。しばらく運転手と主人が話していたが、主人はこのバスに乗れという。このリムジンは江陵−束草−とも書いてある。それなら、束草から直通で来るんじゃないのか?客も何人か乗っているし...。主人の指示で、リムジンの運転手に青い切符を渡して乗り込む。2時に出発する。14:30じゃないのか?よく分からない。
 少し行くと、干しイカなどの海産物を売る土産物屋があり、やがて軍に守られた強力な検問が見えてきた。まわりは有刺鉄線だらけで、いよいよDMZ地域付近だとドキドキする。しかし、そこからしばらく行くとまだ集落があり、のどかな農村風景が広がる。ここの人はどんな生活をしているのだろうか。そして、丘を登っていくと大きな駐車場があり、ここが展望台らしい。保安公園から約15分であるから結構距離がある。歩いて20分とはいったい..どこのことだったんだろう?

   2002' 8/24